2011年11月、「『科学から人間を考える』試み」と名付けた科学の成果を哲学的・歴史的視点から見直すための語りの場を始めました(SHEの趣旨)。その後、2013年3月の第5回試みから「サイファイ・カフェ(Sci-Phi Cafe)SHE」と名を改めて継続しています。
この試みでは出発点を科学に定めましたが、もう一つのやり方として哲学の蓄積から人間に迫る方向性を組み込んでもよいのではないかと考えるようになりました。哲学には大きく二つの流れがあると思います。一つは大学での哲学、体系の構築を目指す理性に依存する哲学です。これに対して、生きることに直結する哲学があります。新たな試みとして、後者の生きることに関わる哲学を中心に人間を考え、語り合う場を設けることを考えています。それが「生き方としての哲学」を語るカフェフィロ・ポール(PAWL)です。
PAWLとは、わたしが将来を模索していた2006年にパリのリブレリーで出会ったピエール・アドー(Pierre Hadot, 1922-2010)という古代哲学の専門家が書いた『生き方としての哲学』の英訳 Philosophy As a Way of Life の頭文字になります。この本については、以前にこの場でも取り上げています。
ピエール・アドーさんによる 「生き方としての哲学」 (2011-9-6)
今回、カフェSHEとカフェPAWLの試みを包括する場として科学から人間を考える 「サイファイ研究所 ISHE (Institute for
Science & Human Existence)」 を設けることにしました。英語名の日本語訳は 「科学と人間存在研究所」 となり、その略称は I for SHE で 「彼女のためのわたし」 となります。この場で扱う領域が、フランス語で言えばすべて女性名詞に対応していることも嬉しく感じています。それは、科学(la Science)、医学(la Médecine)、哲学(la Philosophie)、歴史(l’Histoire)、宗教(la Religion) などであり、この場が目指す遥か彼方にある人間存在(l’Existence
humaine)も例外ではありません。
この場では、単に知識を集めて並べるだけで満足して終わるのではなく、それらの知識を関連付けながら組み合わせ、さらに人類の遺産の中に眠る他の知識との新たな繋がりを求めることにより、新しい知の塊を創り出す過程に重点を置きます。このような営みがこれから益々必要になると感じたからになります。
このような趣旨をご理解いただき、これからもご支援、ご協力いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
(2013年9月26日)
(2014年7月1日改訂)
(2014年10月3日改訂)
(2014年7月1日改訂)
(2014年10月3日改訂)