「知識で終わる世界」から「知識から始まる世界」へ
科学から哲学、歴史を経て 自然・生命・人間存在の理解へと飛翔する
それは生きる目的である人間になるため・・・
科学と人間存在研究所
Institute for Science & Human Existence
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1.9.11
リチャード・ファインマンさんの科学観が見える 「科学は不確かだ!」
リチャード・ファインマンさん (1918-1988) は朝永振一郎さんらとともに1965年のノーベル物理学賞をもらっている世界的な学者。専門書に留まらず、普及本を多く書いていて、日本語に訳されているものも少なくないのでご存知の方も多いはず。その中の一冊に講演をまとめた The Meaning of It All (1998) の日本語訳 「科学は不確かだ!」 がある。1998年に岩波書店から出版されているので、本が出てすぐに訳されていたことになる。現代文庫には2007年に入っている。
この本はこちらに来てから読んだが、印象はよかった。科学の特徴を分かりやすい言葉で語っているだけではなく、周辺の哲学、宗教、政治などとの関連にも触れている。科学者から見た哲学について身につまされる件を一つだけ紹介したい。それは、哲学者は言葉の定義にうるさいというもの。定義は難しく、突き詰めると定義などできないことがほとんどかもしれない。それでも科学は進む。これがほとんどの科学者の立場になるだろう。科学者のわたしが哲学者から、その言葉をどういう意味に使っていますかと問われれば、答えに窮することがほとんどで、まあうるさいことは言わずにと思うだろう。しかし、哲学者のわたしはその問を発することになるだろう。同様のことが先日のセミナーでもあったが、インターフェースにいると両者の立場が手に取るようにわかるので面白い。いずれにせよ、この本は科学の全体像を大掴みにするにはお薦めである。
(2011年9月9日)