7.12.11

1-SHE 「科学と哲学」

第1回 「科学から人間を考える」 試み 



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The First Gathering SHE (Science & Human Existence)


テーマ: 「科学と哲学を考える」
Science and Philosophy: Overview

その1: 2011年11月24日 (木) 18:30~20:00
その2: 2011年11月25日 (金) 18:30~20:00

会場: カルフール Carrefour 会議室 
(東京都渋谷区恵比寿4-6-1 恵比寿MFビルB1)


案 内
会までの経過


初めての試みのまとめ


ことの始まりは、この夏日本からパリに戻ってまだ余韻さめやらぬある朝の一瞬の出来事であった。 一般の方に向けてこのような形でお話するのは今回が初めてである。そのため、どれだけの方がこのような営みに興味を示されるのかわからないという不安と、どうしてもやらなければならないという大袈裟に言うとわたしの中の使命感のようなものが同居した中で時間を過ごすことになった。

当初は1日の予定でいたが、1カ月前には定員に達したため翌日にも同じ内容の会を開くことにし、こちらも定員を満たす申し込みがあった。当日参加できない方はいたものの、講師の1時間ほどの話の後も活発な議論が続き、予定の時間を遥かに超えるわたしにとっては嬉しい、会場のカルフールの皆様にとっては迷惑この上ない事態になった。改めて、参加された皆様、および寛大な対応をしていただいたカルフールの皆様に感謝いたします。

今回、会場の制約があり討論時間を充分に取ることができなかった。講師の発表時間と同じくらいかそれ以上の時間があると、余裕を持ってもう少し自由に意見交換ができるのではないか。また、会の終了後に参加者同士がざっくばらんにお話できる時間があった方がよいのではないか、などの声も耳に入ってきた。確かに、この世に偶然はなく、あるのは約束された出遭いだけである、と言った詩人もいた。これからのやり方を考える上で参考にさせていただきたい。


2日目の参加者の皆様
(お一方は撮影前に急用で帰宅)
初日は終了時に慌ただしい状況になり、撮影は叶わなかった

参加者から届いたコメント
  • 私の参加目的は、先生のお話を聞くことで今の自分の生活を、より思考的に、より効率 的にしたいと考えたからです。その上でこの先の人生をいかに生きるか、考えてみたかったからです。そういう姿勢でいるための、エッセンスを得られればと考 えたからです。・・・ スライドで紹介される哲学者たちの言葉を知り、その意味を考えることだけでも十分興味深く愉しかったです。次回以降の企画もあるということなので今から楽 しみにしています。
  • 素晴らしいご講演をお聞かせ頂き、また貴重な機会を与えて下さいまして、本当にありがとうございました。科学と哲学の融合ということ、私の中で学生時代か らずっと考えていたことでしたが、社会人になってからは封印しておりました。何十年かぶりに、知的興奮ともいうべき感覚を持つことが出来ました。・・・ 今回、先生のご講演を拝聴させていただき、学生時代(というか、恐らくもっと前から)考えていたテーマを再び考え続けてみようかと思った次第です。
  • 昨日は特に、「知」について考えさせられました。日本も、国をあげて「科学の智」に 関するプロジェクトを作っているほどです。「知」や「智」をどう解釈するか、大切と思いました。単なる「知識」なのか、自分に蓄積した「知や思考を応用で きる力」なのか・・。ジル・ドゥルーズの言っている、別の知、科学がわれわれから奪った知とは何を指しているのかもできるだけ的確に押さえたいと思いまし た。哲学を勉強したのは、高校の時くらいですが、久しぶりに、大変興味深い勉強会でした。本当にありがとうございました。
  • ありがとうございます。示唆に富んだ講演内容、素晴らしかったです。また機会があればお話をお伺いしたく存じます。宜しくお願いいたします。
  • お話をうかがえて、本当によかったです。専門分野を卒業して自分の居場所も移動した いと考えていますので、“哲学と人生の季節”や“哲学するために必要なもの”は納得がいき、自分の決心を後押ししてくれる力になりました。他にもいろいろ 思うことはあるのですが、感じたこと、考えていることを文字にするのは難しいです。これからもよろしくお願いいたします。
  • 科学と人~哲学も哲学するような問題提起と示唆に富むご講義を賜り、有難うございました。2つの哲学とフランスの思考の自由性の話は印象に残りました。・・・ 研究・科学啓発活動の一層のご発展を期待申し上げますとともに、今後ともご教示の程よろしくお願い申し上げます。
  • 昨日はありがとうございました。・・・ 一晩寝て、目が覚めると昨日の会の様子・やりとりが目の前に浮かびました。なかなか面白い会だったと改めて実感しました。 ・・・ 原理の追究・体系化を得意とする西洋、職人的に技術開発に才能を発揮する東洋という対比、またなぜそうなるのかという原因の1つに、西洋の言語がそうさせ る、と話がおもしろくなってきたところで時間切れとなったのが残念でした。 ・・・ 丸山真男の「タコツボ」論ではありませんが、世の中のすべてが細分化・専門化されている現状にあって、全体を俯瞰する視点、考察力、コミュニケーション力 は必須なのだと、昨日さらに強く感じました。
  • 私は哲学に関しては全くの素人で、難しい話になったら困るなと心配していましたが、 今回は第1回目ということもあってか、矢倉さんが哲学を始められた背景とか、哲学の歴史的な経緯とか、科学および哲学とは何かということに関して、順序 だって分かりやすくお話いただき、非常によく理解できました。とにかく私自身、ものを深く考える習慣がないことが認識できました。あまりにも知識がないこ とと、そのようなことを議論する習慣が出来ていないので、クリアな感想も述べられませんが、私は大学での専攻は物理でしたので、アインシュタインやホーキ ングの話には非常に興味を持ちました。第2回にもぜひ参加したいと存じますので、ご案内をいただけますと幸いです。
  • 昨日はお疲れ様でした。とても刺激的で、まとまった講演でした。普段考えてないこと に気づき、考え続けることの大事さが分かりました。私はこの9月末で大学を退職となりました。 現在はフリーの身で、読書、趣味の演奏活動などで過ごし、ゆとりが感じられる日々です。「こんなときこそ哲学すべし」と思い至りました。(意識のあり方、 本性につねづね興味を抱いています。)では、また次回の講演を楽しみにしております。
  • 私の参加した目的は、科学が進歩する目的を得る為に哲学的思考が役立つのではない か、という考えを検証する為に参加しました。哲学的な思考の方が、物事の大局を抽象的に把握する事が出来るからです。しかし私が会に求めていた事と、会で 提供された物の乖離がありました。少人数の会という事で、あるテーマ(科学から人間を考える)について軽くイントロをした後に後は様々な人の意見を聞きな がらディスカッションをしてその場で意見を醸成していく会の雰囲気を予想していました。しかし当日は、大学の講義的な会になっていたと思います。それが良 かった人も多かった様ですが、私には少し物足りなさを感じました。より会の目的を明確化する事で、会の趣旨を理解した人が集まりやすくなると考えます。ま た会をより良くする為に、是非自己紹介をする事を提案いたします。せっかく少人数で周りの人と近い距離にいるのに、隣の人が誰なのか、どんな背景を持つ人 なのか、何が目的で参加しているのか分からずにいるのは居心地があまり良くありません。今後この試みが更なる発展を遂げ、人々の生活を変える会になる事を 祈っています。どうぞよろしくお願いいたします。

コメントを読んで改めて考えたこと
この会の方向性について
この会は科学と哲学や歴史との関係に興味はあるけれども近づき難いと思っている方、人間とは何か、さらにこの世界にどう生きるのか、などの問について興味を お持ちの方に語りかけたいということから始まりました。わたしの中では基礎的な知識や考え方を一つずつ学び蓄えることから始め、最終的に人間の理解を目指 すという長いスパンの営みと考えたいと思っています。それぞれの会はそれ自体として完結したものにしたいと思っていますが、それはあくまでも最終点に向け てのひとつのステップにしか過ぎないというイメージを描いています。
具体的なやり方については参加者の幅が広いのでいろいろなバージョンを考えたのですが、今回は初回ということもあり、この領域の背景やこの会の方向性について1時間ほど語った後に30分ほどのディスカッションという時間配分にしてみました。蓋を開けてみると、両日ともディスカッションがオーバーし、落ち着かない終わり方になってしまいました。現時点での修正点として、開始時間を10-15分早め、わたしの発表を40分程度に短縮し、残りの時間(約1時間)をディスカッションに当てるという方法も考えられます。それでも足りなければ(初回の印象ではそうなると想像されますが)、場所を変えて意見交換することも可能だと思います。
会場について
初日は約20名、2日目は約15名の会場でした。話した側から両者の比較をしてみますと、僅か5人程度の違いですが、2日目のサイズの方が話しやすく感じま した。もし今後も同じ場所を使うとすれば、2日目の会場を使い、人数が多い場合には回数を増やした方がよいのではないかと考えています。この会場の方が自己紹介や意見交換もやりやすくなるのではないかと思います。
細かいこと
今回、飲み物の注文に手間取りご迷惑をおかけしました。これも同じ会場の場合ですが、当初の案のように会費を1,500円として、飲み物はコーヒーと紅茶だけとしてどちらかを選び、料金は会費から支払う方が効率的ではないかと考えています。
お願い
この会は「試み」と銘打っており、常に探りながら進むという動的な心が込められています。お気付きの点がありましたら、どんなことでもご連絡いただければ幸いです。予想もしないような方向に進化することを願っております。よろしくお願いいたします。

今後の予定

これからの予定は現在のところ以下のようになります。

第2回: 2012年4月
第3回: 2012年9月
第4回: 2012年12月
詳細が決まり次第、本サイト、 「パリの哲学的生活」、ブログ 「パリの断章」 に公表する予定です。ご参照いただければ幸いです。

今後ともよろしくお願いいたします。

(2011年12月7日)