プロジェクト2021

  

 

プロジェクト2021を振り返る


今年は14年振りにフランスから日本に戻ることになった。COVID-19のためである。そのためかどうかは分からないが、こういうプロジェクトがあることをすっかり失念していた。昨年考えたプロジェクトに合わせて振り返ってみたい。


哲学研究


1)免疫に関する思索の跡を纏める

このプロジェクトには非常に長い間関わってきたが、最近一つの塊を作ることができた。少し寝かせてから見直すことにしたい。


2)炎症について考え直す

1)のプロジェクトに精力を集中していたので、このプロジェクトにまで手が回らなかった。ただ、上記プロジェクトの中で新しい見方に気づくことになった。年明けからそれを解きほぐすことになるだろう。


3)科学と人生についての思索を纏める

このプロジェクトは、2012年から「医学のあゆみ」誌に毎月書いてきた『パリから見えるこの世界』のエッセイシリーズのまとめをすることである。全体を纏めることは大変なので、エッセイの中から自分の中に根づいていると思われる「ひと・もの・こと」を選び、それを再構成することにした。7-8割は見えてきたので、来年早々にゴールまで辿り着きたいものである。


4)マルセル・コンシュを読む

これは今年の夏に偶然から始まり現在まで続いている試みである。これまでに『哲学の意味』(Le sens de la philosophie)、『形而上学』(Métaphysique)の一部を読み、その内容は日々のブログで紹介している(こちらから)。これまでのところ、わたしの中で固まってきたものと共振するところが少なくない。


5)マインドファイルの作成

フランス生活の最初の7年(2008年3月4日~2015年2月6日)で書き溜めたノート(200ページ)が63冊残されてある。そこにはわたしの受容体を通して見た世界の姿があるはずである。これまで何度も読み返したいと思ったが、フランス生活が動いている間は叶わなかった。今夏、その生活を終えざるを得なくなり、フランス生活が止まったままそこにある。この機会にノートに残された内容を「マインドファイル」(Mind Files for Philosophical Musings)と名づけたサイトで解きほぐすことにし、11月24日から始めた。まだ1冊目で、2008年4月を追っているところである。長いプロジェクトになりそうなので、無理せずゆっくり進めることにしたい。


定常的活動


 1)サイファイ・カフェとフォーラムの開催

COVID-19の影響が継続する中、対面での開催を目指しているため、本年もすべて中止となった。来年には開催したいと思っているが、新たな変異株も出現しているようなので、どうなるのか全く予想できない。


 2)「医学のあゆみ」連載エッセイの執筆

上でも触れたように、2012年2月から始まったエッセイだが、いよいよ来年の3月で最終回を迎えることになった。10年、105回に及ぶシリーズとなる。今では別人の成せる業だったように見える。医歯薬出版には感謝しかない。今年は以下のようなテーマについて書いた。


(98)免疫の形而上学、あるいはスピノザと共に考える.医学のあゆみ(2021.1.9)276(2): 177-180, 2021

(99)プラトンの『テアイテトス』、あるいは「真に知る」ということ.医学のあゆみ(2021.3.13)276(11): 1085-1088, 2021

(100)「人類の遺産に分け入る旅」のこれまでを振り返る.医学のあゆみ(2021.5.8)277(6): 507-510, 2021

(101)徳認識論、あるいは「科学の形而上学化」の役割.医学のあゆみ(2021.7.10)278(2): 180-183, 2021

(102)百寿エドガール・モランの My Way、そして我が道としての自然哲学.医学のあゆみ(2021.9.11)278(11): 1007-1010, 2021

(103)「科学の形而上学化」を文化に、そして今なぜ改めて「科学精神」なのか.医学のあゆみ(2021.11.13)279(7): 759-763, 2021



▣ 今年は期せずして、いくつかの終わりを迎えることになった。一つはフランス生活、二つは長期プロジェクトになった免疫についての省察、三つはこれも10年になった「医学のあゆみ」のエッセイシリーズで、抱えていたものが一掃された印象がある。

何かが終わるということは、それについて反省しやすくなる。動いている中にいると、やろうと思ってもなかなかできない。これからはフランス生活や免疫や「医学のあゆみ」のエッセイの中で考えたことについて考えることができるようになる。その意味では、新しいステージに入る準備ができたと感じている。


 (2021年12月27日)




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プロジェクト2021

 

 2021年は以下のテーマを中心に広く考えていく予定です

2020年には叶わなかったサイファイの活動を再開できることを願うばかりです

ご理解、ご協力のほど、よろしくお願いいたします

 

 哲学研究

1)免疫に関する思索の跡を纏める

2)炎症について考え直す

3)科学と人生についての思索を纏める

 

定常的活動

 1)サイファイ・カフェとフォーラムの開催

 2)「医学のあゆみ」連載エッセイの執筆

 

 (2020年12月8日)