プロジェクト2020を振り返る
哲学研究
1) 免疫に関する思索の跡を纏める
1) 免疫に関する思索の跡を纏める
(1)長期プロジェクトとして、免疫に関する私論を書くことを掲げているが、今年も完成には至らなかった。このプロジェクトは期日を決めてやるというのではなく、思う存分その中に入り、ひと先ず終わったと判断できるまで続けることにしたものである。来年に引き継がれることになる。
(2)植物免疫の認識と記憶に関するエッセイを発表することができた。
Yakura, H. Cognitive and memory functions in plant immunity. Vaccines 8: 541, 2020
(3)科学の形而上学化を再定義し、免疫という現象に適用した試みを発表することができた。このエッセイには「もの・こと」に対する時のわたしの基本となる姿勢が表れており、そこから免疫について一つの考えを表明することができたと思っている。ご批判をいただければ幸いである。
Yakura, H. Immunity in light of Spinoza and Canguilhem. Philosophies 5: 38, 2020
2) 認識・記憶についての省察を深める
免疫に関する認識と記憶に関しては、上の二つのエッセイで扱っている。これからは、もう少し広い視野から省察を進める必要があると考えている。
3) 病気についての省察を始める
今年はこのテーマにまで手が回らなかった。来年からは炎症をテーマとして省察を始める予定なので、その過程で病気についても触れることになるだろう。
4) イリヤ・メチニコフの科学と哲学を分析する
このプロジェクトは翻訳プロジェクトと並行して進める予定だったが、その余裕は生まれなかった。来年の予定を考えると、当分手を付けることは難しいと考えている。
定常的活動
1) サイファイ・カフェとフォーラムの開催(春と秋)
予定したすべての会はCOVID-19のため、残念ながら中止せざるを得なかった。2021年は最初のカフェ開催から10年目を迎える。予断は許さないが、会が開催できることを願うばかりである。
2)「医学のあゆみ」 連載エッセイの執筆
今年は以下の第87~97回を執筆することができた。そのテーマとして、現代文明の問題と超克、COVID-19などの感染症、汎心論が集中的に取り上げられていたことが分かる。ここからどのような思索が生まれ、そして発展するのであろうか。注目しながら新年を迎えたい。
(87)『これからの微生物学』から見えるこの世界、そして科学の言葉再び
医学のあゆみ(2020.1.11)272 (2): 194-197, 2020
(88)ヴォルテールとルソー、あるいは21世紀を考えるための二つの極
医学のあゆみ(2020.2.8)272 (6): 563-566, 2020
(89)シュペングラーの技術論、あるいは近代文明の宿命を逃れる道はあるのか
医学のあゆみ(2020.3.14)272 (11): 1171-1174, 2020
(90)『近代の超克』、あるいは日本人による日本の科学と知の省察
医学のあゆみ(2020.4.11)273(2): 203-206, 2020
(91)『知性改善論』、あるいは世界の理解と幸福に至るための道標
医学のあゆみ(2020.5.16)273(7): 615-618, 2020
(92)COVID-19パンデミック、あるいは一観察者に見えてきたもの
医学のあゆみ(2020.6.13)273(11): 1115-1118, 2020
(93)COVID-19パンデミック、あるいは「前」と「後」を考える
医学のあゆみ(2020.7.11)274(2): 237-240, 2020
翻訳
フランス語の感触を維持するために、イリヤ・メチニコフの『感染症における免疫』を翻訳する予定であったが、取り掛かることができなかった。これまでの経験から、翻訳には相当のエネルギーと時間が必要であることを理解していたので、このような結果になったのはよく分かる。どうしてもやらなければならないという縛りがないと、形にするのは難しいと思われる。
医学のあゆみ(2020.1.11)272 (2): 194-197, 2020
(88)ヴォルテールとルソー、あるいは21世紀を考えるための二つの極
医学のあゆみ(2020.2.8)272 (6): 563-566, 2020
(89)シュペングラーの技術論、あるいは近代文明の宿命を逃れる道はあるのか
医学のあゆみ(2020.3.14)272 (11): 1171-1174, 2020
(90)『近代の超克』、あるいは日本人による日本の科学と知の省察
医学のあゆみ(2020.4.11)273(2): 203-206, 2020
(91)『知性改善論』、あるいは世界の理解と幸福に至るための道標
医学のあゆみ(2020.5.16)273(7): 615-618, 2020
(92)COVID-19パンデミック、あるいは一観察者に見えてきたもの
医学のあゆみ(2020.6.13)273(11): 1115-1118, 2020
(93)COVID-19パンデミック、あるいは「前」と「後」を考える
医学のあゆみ(2020.7.11)274(2): 237-240, 2020
(94)CRISPR-Cas、あるいは我々を汎心論へと開くもの
医学のあゆみ(2020.8.15)274(7): 623-626, 2020
(95)汎心論、それは物理主義を乗り越えることができるのか
医学のあゆみ(2020.9.12)274(11): 1149-1152, 2020
(96)現代の汎心論、あるいはその問題点と可能性
医学のあゆみ(2020.10.17)275(3): 311-314, 2020
(97)植物の免疫、その認識と記憶のメカニズム
医学のあゆみ(2020.11.14)275(7): 853-856, 2020
翻訳
フランス語の感触を維持するために、イリヤ・メチニコフの『感染症における免疫』を翻訳する予定であったが、取り掛かることができなかった。これまでの経験から、翻訳には相当のエネルギーと時間が必要であることを理解していたので、このような結果になったのはよく分かる。どうしてもやらなければならないという縛りがないと、形にするのは難しいと思われる。
講演・講義(ZOOM)
(1)生命倫理私論.東京理科大学大学院講義(2020年10月7日)
(2)科学・医学と哲学の関係を考える.北海道小児先進医療研究会講演(2020年11月17日)
(2020年12月8日)
プロジェクト2020
2020年は以下のテーマを掲げて活動する予定です
ご理解、ご協力をいただければ幸いです
よろしくお願いいたします
1) 免疫に関する思索の跡を纏める
2) 認識・記憶についての省察を深める
3) 病気についての省察を始める
4) イリヤ・メチニコフの科学と哲学を分析する
定常的活動
1) サイファイ・カフェとフォーラムの開催(春と秋)
① サイファイ・カフェ SHE(東京、札幌)
② カフェフィロ PAWL
③ ベルクソン・カフェ
④ サイファイ・フォーラム FPSS
2)「医学のあゆみ」 連載エッセイの執筆
翻訳
フランス語の感触を維持するために以下の翻訳を行う
1)Élie Metchnikoff. L'Immunité dans les maladies infectieuses(Masson, 1901)(イリヤ・メチニコフ著『感染症における免疫』)
(2019年12月19日)